X
おるすわん図鑑 vol.4 〜 柴犬〜
2017/11/02

近年の和犬ブームにより柴犬は人気犬種として再浮上。
TV番組や映画などにも採り上げられ、漫画やグッズも多数販売されています。
黒目勝ちのつぶらな瞳、子犬のような短いマズル、丸い顔にピンと立つ三角の耳。
クルリと巻いた尻尾に梅の花のような肉球。

日本人が考える愛らしさを小さな体に詰め込んだようなワンちゃん達で、私達の暮らしに寄り添いずっと愛され続けてきました。


歴史

柴犬の先祖は縄文時代にまで遡ります。
主に野鳥や小動物の狩猟を手伝い、番犬として働いてきたと言われています。
日本由来の6犬種の中では最も体格が小さい柴犬は、歴史を通じて人間を助け生活を守る役割を果たしてきました。



日本の山野を駆け回り筋肉質な体がつくられ、長きにわたり屋外で飼育されてきたため、寒さには比較的強い犬種。
体毛は短いながら手で毛を掻きわけないと地肌が見えないほど密集しており耳殻の内側までカバー。


暑さは苦手で、中には庭の土を掘り返してお腹をつけて冷やすという高等技を見せるワンちゃんもいます。
泥んこ遊びは大好きなのに水遊びは得意ではありません。
また膿皮症など皮膚炎になり易く毎日のブラッシングやノミダニのチェックは必須です。


気質

飼い主には忠実なのにプライドが高く頑固。
好奇心旺盛なのに警戒心が強いく、柴犬の心理は実に多面的で複雑。
この犬種は「自分が納得しないことはしない」と言われます。


大好きなご家族の指示でも従わず頑なに拒否し続けることもあり、ある意味では自分の頭で考える犬と言えるかもしれません。
普段はおとなしい柴犬もシャンプーで風呂場に入れられた途端、叫び暴れ始める子もいます。

ワンちゃんとしては、叱られるようなことは何もしていないのに、なぜこんな酷い目に遭わされるのかと当然納得できません。
シャンプーの気配を察知して逃げ回り捕まえられると噛もうとするため、シャンプーの際は拾い食い防止用マスクを利用するケースもあるそうです。


「噛んではいけない」と教える上で、マズルコントロールという方法があります。
これは、母犬が子犬をしつける際に相手のマズルに歯を当てる自然な行動を応用したもの。ワンちゃんの身体を保定してマズルにそっと触れるところからスタートし、噛まれた瞬間にマズルに自分の手をかぶせ、あくまで軽くつかみます。



特に子犬には抵抗なく受け入れられる上に、噛み癖の矯正だけでなく歯磨きに慣れさせるのにも有効と広く推奨されてきました。
ただし、マズルコントロールがすべての犬種に有効かというと賛否両論あり、柴犬などには大きなストレスになるケースが多いそうです。


種類を問わずワンちゃんを叱ることは、タイミングや加減など褒めることより格段に難しいもの。
人間との信頼関係が確立していない段階でワンちゃんにマズルコントロールをすると、不信感を募らせ攻撃的になる可能性が高くなります。


ワンちゃんに必要なケアや診療を受けさせる際、あらかじめ特別なおやつを用意されるご家族も多いことでしょう。
しかし、ある日突然ご褒美が効かなくなることがあります。
なだめてもすかしても相手は断固拒否の姿勢を崩さず、ご家族にはフラストレーションが募り強行する羽目に。

柴犬が以前は大丈夫だった事を突然拒否し始める場合は、一歩引いてワンちゃんに独りで頭を冷やす時間を与えてはいかがでしょうか?
もちろんご褒美は与えず、散歩や食餌も遅らせ、一定の時間はワンちゃんに一切構いません。



「当たり前に与えてきたもの」を止め、完全無視で放置することで、ワンちゃん自身に考えさせます。
力で指示に従わせるよりも案外問題解決の早道かもしれません。


お留守番

柴犬に関するある調査では、お留守番で分離不安の症状や問題行動を見せなかったワンちゃんは調査対象全体の67%、中程度の症状や問題行動を見せたワンちゃんは26%、重篤な症状や問題行動を見せたワンちゃんは7%。
「独立心が強い」柴犬でも、分離不安と全く無縁とは言えないようです。

柴犬に多く見られる分離不安が原因の症状や問題行動は、以下のとおり。

  • 過剰な吠え・叫び
  • さまざまな物を噛む・攻撃的になる
  • 呼吸が荒くなる・震え・嘔吐
  • ウロウロ歩く
  • 失禁・教えられた以外の場所での排泄
  • 隠れる
  • 破壊行動(主に玄関のドア等)
  • 脱走

特に柴犬に多いのですが、退屈しのぎに家具などを噛む、また破壊行動や脱走などに走ることがあります。
行動の内容や結果だけを見ても、原因が分離不安なのか、退屈なのかは区別できません。どの行動がどの時点で発生したのかを確認することが重要になります。

分離不安の場合は問題行動や症状がご家族の出発前から出発後40分以内に発生する傾向があり、一方退屈の場合は、ご家族がご自宅を離れるまではまず見られず、発生するのはご出発後しばらく時間が経過してからというケースが大半を占めます。

ワンちゃんの様子を動画で撮影し、どの時点で、どのような行動や症状を見せたかを獣医さんに確認してもらえば、正確に診断また効率的に対処できます。

また、分離不安の症状や問題行動は放置により悪化するケースが多く、重篤な場合は投薬が必要。
しかし可能ならば長期にわたる投薬治療は避けたいもの。
早期に手を打って、ワンちゃんもご家族もストレスから解放されることを願います。

ちなみに退屈の根本原因はーー特に柴犬の場合――運動不足にあると言います。
あるサイトでは、柴犬が必要とする散歩の距離は体重X1kmが目安で、体重が10㎏であれば10㎞と紹介しています。


1歳前後までの柴犬には、スロージョギングやハイキングがお勧め。
運動量を増やすだけでなく、いつもの散歩コースでも目先が変わり楽しめます。
あらかじめ体を十分疲れさせておけば、お留守番のストレスが軽減され分離不安の症状や問題行動の予防にも効果的。

特にハイキングはワンちゃんの脳に刺激を与えることができ、疲労度が高くなるだけではなく老化予防にもなります。
ジョギングやハイキングでは、ご家族はご自身のベルトに登山用のカラビナを付けてリード(伸縮型リード以外)を固定しリードの長さを調節します。

短い距離や土手など緩やかな斜面から始め、少しずつ距離や難度を上げて行きます。
ご家族は、ワンちゃん用の飲み水やウンチ袋等の荷物をバックパックやウエストポーチで運び両手は常に空けておきましょう。


柴犬は犬種としての歴史は長いものの、人間が間近で気質や生態を観察し始めたのはつい最近のこと。
知っているようで知らないことがたくさんあるのではないでしょうか?
ワンちゃんと一緒に積極的にさまざまなことに挑戦してください!


きっと新たなワンちゃんの魅力や発見に出会えることでしょう。



Furboメールマガジンに登録(無料)
Furboメールマガジンに登録(無料)