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おるすわん図鑑 vol. 9 〜大きな甘えっ子、ゴールデン・レトリバー〜
2018/04/04

大きな体に、ひまわりのような笑顔。
ふわふわの長い毛に包まれたゴールデン・レトリバーは、姿や仕草が愛らしいだけでなく性格も「ゴールデン(金)」。

人が大好きで、基本的に小さなお子さんや高齢者にも優しく、他のワンちゃんやペットとも社交上手。
小さなことにはこだわらない大きなハートの持ち主です。


歴史


ゴールデン・レトリバーは、19世紀半ば~後半のスコットランドが発祥地と言われています。
この地方は元より狩猟が盛んでしたが、沼地や川も多く寒冷地でもあることから、撃ち落とされた鳥を回収するのは大仕事。
このためレトリバー種にウオーター・スパニエルを交配させてつくられたという説が有力です。

鳥猟犬として重宝され、素晴らしい性格やしつけ易さが広く知られるにつれ、ショードッグやペットとして注目を集めることに。
今やアメリカでは人気犬種の代表となっています。


性格



アウトドア派で水遊びが大好きなのは有名ですが、一番好きなのは雨の後の公園。

走り回って泥んこになったり、ミミズや虫の死がいに体をこすりつけたり。
大抵の場合、突然スイッチが入るので制止が難しいとか。

愕然とするご家族とは対照的に、ワンちゃんの表情は得意げ。
「シャンプーするよ」と宣告されると、目を白黒させますが、多くの場合は協力的です。

覚えが早く性格もゴールデンな犬種なので、しつけは比較的簡単。
おやつや遊びをご褒美に「褒めて伸ばす」方法で、望ましい行動を導き出してください。

気質の面で扱いが比較的簡単な一方で、多くのご家族が苦労されるのは2歳までの運動方法。

この犬種も、他の犬種と同様に、2歳くらいまではエネルギーに満ち溢れ、運動欲求も高く疲れ知らず。
多くのご家族がボール遊びなどで、ワンちゃんのニーズを満足させておられますが、運動の場所、方法や量を慎重に選ぶ必要があります。

ゴールデン・レトリバーの体重は、出生時が平均400~500g。
平均的な成犬では25~34kgで、この数字を基に計算すると成長率は最大で85倍。
チワワは出生時には150g前後、成犬では1.5~3.0kgで成長率は10~20倍ですから、この差は歴然としています。

犬種に関わらず骨格は2歳前後まで成長。
しかし、骨は伸びた後に本来時間をかけて強く硬くなっていくもの。
それまでに損傷すると変形する可能性が高くなります。
また、足などの骨端にある成長板がまだ働き続けていれば、骨は変形したまま成長を続けるかもしれません。

骨や関節の変形は、その時点では異常が見られなくても、年齢を重ねるうちに痛みが出ます。
また損傷箇所が一か所でも、骨格全体のバランスが崩れると他所に影響が及ぼすことも。

まず階段や傾斜地を走らせるのは禁物。
大型犬は、特に奥行きのない階段は苦手なので、一気に駆け上がろうとします。
できる限りこのような階段を避けて、緩いスロープを選んでください。

子犬との遊びには、追いかけっこやかくれんぼ、「おいでゲーム」が最適。
特に屋外では、食べられないものまで口にするケースが多いので、ロングリードや口輪を着用させることをご検討ください。

なお、この犬種はボールやディスクを追いかけるのが大好きですが、このような遊びはジャンプや急旋回、急停止など骨を傷め易い動作を含みます。

とはいえ全面禁止は酷ですし、筋力やスタミナを養うことも必要。
そこで、遊び方を工夫してリスクを軽減することを提案します。

まず、ボールやディスク遊びの場所を平地に限定。
ワンちゃんにリードを装着させ、リードを足で踏み、ワンちゃんを伏せさせて「マテ」を指示。
次にボール(ディスク)を投げて、地面に落ちたことを確認。
それまでワンちゃんが伏せて待っていられたら「GOOD!」と褒め、その上で「GO!」と合図してリードから足を離します。

最初は指示を無視して猛ダッシュするかもしれません。
そのような場合には、大声で叱るのではなく、落ち着いた声で「NO」と、たしなめてください。

この方法であれば、少なくともジャンプや急旋回は避けられます。
また「マテ」の練習にもなるので一石二鳥。
遊びを通じてワンちゃんとのコミュニケーションが深まります。

骨格はゴールデンの大きな体だけではなく、生涯にわたる彼らのQOL(生活の質)を支えるもの。
若い頃からのケアや管理を心がけたいものです。


ゴールデンとお留守番



海外の調査によると、ゴールデン・レトリバーで分離不安の重篤な問題行動や症状を見せるワンちゃんは少数派。

彼らは保護やご家族の生活リズムや環境の変化などを経験しており、原因が明らかなケースが大半を占めます。

(一般的な問題行動や肉体的な症状、対処法の詳細については、本ブログの過去の記事をご参照ください)。

ゴールデン・レトリバーが見せる分離不安による典型的な問題行動や症状は、以下のとおりです。

  • ウロウロ歩く、鼻を鳴らす、高い声で鳴く、ベタベタとくっつきたがる、過剰なヨダレ、過呼吸、震え(ご家族の出発前)
  • 吠える(ご家族の出発時とそれ以降)
  • 窓枠や家具などを齧る、床やドア周辺を引っ掻く、庭や花壇を掘る、教えられた場所以外での排泄、体を過剰に舐める/齧る、脱走(お留守番中)
  • 過剰な興奮、飛びつき、排泄の失敗(ご家族のご帰宅時)

まずは、ワンちゃんに医学的な問題がないかどうかを動物病院でご確認ください。

失禁などは、ホルモンバランスの崩れや糖尿病などが原因の可能性もあります。

その上で、問題行動や症状が分離不安によるものかどうかを確認しましょう。

「家具を齧る」「花壇を荒らす」などは、退屈しのぎのイタズラかもしれません。

分離不安への対処とイタズラの矯正とでは全くアプローチが異なるため、この確認は非常に重要。

分離不安の場合に叱ったり罰を与えたりすると、ワンちゃんの留守番に対する恐怖やストレスが募り、問題行動や症状が悪化することも考えられます。

確認には、ワンちゃんの様子を動画で撮影しておくと役に立ちます。

分離不安による問題行動や症状は、ご家族の出発準備から出発後約40分後までに集中的に発生。

一方、イタズラは、ご出発されてしばらくしてから。

撮影した動画を獣医さんに見せることで、効率的な診断と効果的な治療・対処が可能。

いずれの場合も、早期の発見と対処が鍵と言えるでしょう。


分離不安のゴールデンの飼い主さんが実施されている対処法

  • お留守番トレーニング(短い距離と時間から始め、段階的に伸ばしていく)
  • ラジオやTVをつけたまま外出する
  • 帰宅後約10分はワンちゃんにかまわない

すべての犬種に共通するのは、お留守番前の十分な運動、排泄と食事。

身体が疲れるとストレスが減り、お腹がいっぱいになれば眠くなり、孤独に対するストレスを感じる時間が短くなります。

特にトレーニング中や療養中のワンちゃんには、外出先からワンちゃんの様子を確認する必要があるかもしれません。

Furboはワンちゃんの動きを感知して、外出先のご家族のスマホに通知します。

また、Furboを使って外出先からでも声をかけたり、おやつを与えたりすることで、ワンちゃんも安心できるかもしれません。



大きな甘えっこのゴールデンにとっては、ご家族の愛を感じることが一番の幸せ。

そして、ご家族にとっても大きな癒し。

あるご家族はTVを見ていると、ワンちゃんが必ず膝に乗ってくるので「TVが全く見えない。重いし変な修行みたい。」と苦笑。

「でも寄り添われると疲れた体も心もほぐれるから不思議なの。」おそるべし、ゴールデン・マジック!!

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