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おるすわん図鑑 vol.13 〜 いぬのおまわりさんの正体? パグ 〜
2018/08/01

のっけからいきなりですが、皆さんに質問です。

童謡『いぬのおまわりさん』のおまわりさんは、どんな犬種だと思われますか?迷子の子猫を助けたいのに、相手は泣いてばかりで情報がとれない。
困り果てて自分も泣いてしまうおまわりさん。

この心優しいユーモラスな「おまわりさん」は、パグを想像させるのですが、いかがでしょうか?



気質



『いぬのおまわりさん』がパグを連想させるのは、彼ら特有の困り顔だけが、理由ではありません。


パグは、人だけでなく、他のわんちゃんや動物にも友好的。
幼児や高齢者にも優しいことから、あらゆる世代のご家族やペットと上手に付き合えます。
町のおまわりさんには、まさにうってつけの性格。


ご家族に一緒に出掛ける習慣があれば、パグは外出先でも落ち着き、初めて出会うわんちゃんにもフレンドリーに接するようになります。
一方、健康管理に必要な最低限の運動をさせれば、自宅で静かに暮らすのも、彼らの平和主義な気質に合っているかもしれません。


ある三世代同居のご家庭では、子供さんとオモチャやままごとで遊び、ママさんやおばあちゃんとのんびりご近所を散歩して、一日の終わりは、パパさんとは晩酌のお相伴をするそうです。
別のご家庭では、怖がりの同居猫にちょっかいを出さず、一緒にひなたぼっこや昼寝を楽しんでいると聞きます。
場面や相手に無理なく合わせられるのもパグの特徴です。


さらに、この犬種は優れた「共感力」の持ち主。
ご家族が笑顔を見せれば、自分も満面の笑みになり、悲しそうなら静かに見守ります。
人間のおまわりさんのような問題解決力はないけれど、ご家族の気持ちを敏感に察して、とことん寄り添うことでサポートします。


なお、この「共感力」は、時に遠吠えというかたちで発揮されることがあるそうです。
パグは他犬種に比べ穏やかで、唸る・吠えることは稀ですが、なぜか遠吠えするわんちゃんが多いと聞きます。
共感力ゆえに迷子の子猫と一緒に泣いてしまうのも、無理もないかも。



さて、この犬種にとって最大の課題は運動。

散歩時間の目安は、一般的に15~20分の散歩を毎日1~2回と短めですが、夏の屋外運動は、熱中症リスクを伴うため難しく、かといって運動させないと太ってしまう。
ご家族にとっては、非常に頭が痛い時期ですね。


一般的には、夏季は水泳が理想的な運動方法ですが、パグには、溺れるリスクを考えて行水や浅い沢での遊びをお勧めしたいと思います。


平日のお散歩では、カートを利用されてはいかがでしょうか?
カートに愛犬を乗せて、熱い路面に触れさせることなく、公園や地面が土の場所まで連れて行き、そこで気分転換させます。
万が一に備えて、わんちゃんと一緒に、水を入れ凍らせたペットボトルをカートに入れると、さらに安心。


個々のわんちゃんの様子を見て、この時期は「屋外に出るのは、運動ではなく気分転換」と割り切ることも大切。
夏を乗り切ることを第一目標にして、運動はご自宅や屋内ランで、また肥満予防はダイエットで対処する方が、効率的かもしれません。


ご家族も、わんちゃんも、できるだけストレスを貯めず、無理のない方法で厳しい夏を乗り切りましょう!



歴史



パグは、2,000年を超える歴史を有するアジア発祥の犬種。

中国の歴代皇帝に愛されたことは有名ながら、犬種の詳しい起源については不明です。


中国の宮廷は、外界と隔離されていたものの、権力者には安心できる場所ではありませんでした。
クーデターを起こされ、親族からも生命を狙われる緊張の日々。
皇帝には、衛兵による厳重な警備はもちろんのこと、常時傍にいて危険を知らせてくれる存在が不可欠。
そこで身近に番犬を置くことになりました。


これらの犬は、”sleeve dog”と表現されるとおり、衣服の袖のように皇帝の傍を離れることがなく、100%信頼できる存在でした。
孤独な権力者にとっては、彼らは単なる番犬ではなく、心を許せる数少ない相手だったことでしょう。


皇帝は、珍しい犬種を、宮廷内でのみ交配・養育。
これらの中でパグは最も古く、額の皺が「王」の字に見えることから珍重され、シーズーやペキニーズなどの犬種をつくる上でも、交配に利用されたと言われています。


中国宮廷で生まれた犬達は、国外の権力者達への贈呈品とされました。
16世紀にヨーロッパの交易圏がアジアに拡大し、パグは、中国からオランダ、そして英国へ。
19世紀にはヴィクトリア女王のお気に入りとなり、その後は一般市民の間でも人気を得ることに。
また、パグは、ユニークな容姿だけでなく気立ての良さから、しばしばヨーロッパの犬種との交配に用いられ、ブリュッセル・グリフォンなど、さらに新しい犬種が生れました。





パグとお留守番



パグに関する海外での調査によれば、分離不安による問題行動や症状を見せたわんちゃんは少数。
ただし、この少数派の一部が、下痢やパニック発作など肉体的な症状を見せたことは、要注意。


分離不安のパグが見せる典型的な問題行動や症状は以下のとおりです(分離不安が原因の一般的な問題行動や症状については、当ブログの過去の記事をご参照ください)。

  • ベタベタとくっつきたがる(ご家族が出発の準備を開始~出発)
  • 失禁、下痢、パニック発作(ご家族が準備を開始~出発)
  • 教えられた場所以外での排泄(留守番中)
  • 家具など噛んではいけないものを噛む、遠吠え(留守番中)
  • 興奮、失禁、(ご家族の帰宅時)

上記の問題行動や症状が見られたら、まずは動物病院で肉体的な疾患がないことをご確認ください。
失禁や発作などは、糖尿病や循環器系の疾患など肉体的な健康に係わる問題が原因かもしれません。


医学的な問題がないと確認できたら、ご家族の外出準備から出発後しばらく時間を経過するまで(全体で1時間程度)、わんちゃんの様子を動画撮影することをお勧めします。
動画を獣医さんに見せれば、効率的な診断や効果的な対処につながります。


なお、パグと暮らすご家族からのアドバイスは次のとおり

  • クレートのトレーニングと利用
  • 出発前に運動と排泄を完了。帰宅後は直ぐに排泄させる。
  • 出発時におやつを与えて気を逸らせる
  • サンダーシャツの着用
  • 毛布、噛んで遊べるオモチャを与える
  • TV、ラジオ、音楽をかける
  • 預かり施設の利用
  • わんちゃんを追加で迎える
  • 処方薬の利用

分離不安もさることながら、特にこの時期に注意したいのは、屋内での熱中症。
湿度が高い日は、冷房が室温27℃設定でも、屋内でわんちゃんが熱中症になった例があります。


室内の冷やされた湿気が部屋の床近くに溜まり、小型犬が体熱を放出し難くなったことが原因。
冷房に加え、扇風機で風の流れを作ることが大切です。


この犬種はクレートに抵抗が少なく、これは万が一の災害や入院時を考えると、素晴らしい長所です。
しかし、この時期は熱中症のリスクを考え、使用を避ける、またはクレートの扉を開けておくなど、特別な配慮が必要かもしれません。



さらにFurboを利用すれば、ご家族は外出先からでも、わんちゃんの様子がリアルタイムに確認できて安心。
ご利用者の中には、室内の温度・湿度計がカメラアングルの中に入るように設定することで、わんちゃんの快適な環境を見極めておられるとか。
まさにワザありの利用法ですね!


あるママさんは「(愛犬に)大きな目で『大丈夫?』って見上げられると、つい『大丈夫』って言っちゃうのよね。実は、全然大丈夫じゃないんだけど。」
「で、そう言った手前、自分も前を向かなきゃと思う訳」と笑っておられました。

パグは、ご家族の笑顔を見守りパトロールする『いぬのおまわりさん』なのかもしれませんね。

 

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