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おるすわん図鑑 vol.8 〜ヨークシャー・テリア〜
2018/03/07

モシャモシャの顔。
つぶらな瞳にボタンのような鼻。
成長とともに体毛の色が変わり、さらにカットのスタイルで、印象がゴージャスにもキュートにもなるヨークシャー・テリア。

しかし、本当の姿は?
今回は、ヨーキーの内面を探ってみたいと思います。


歴史

ヨークシャー・テリアの歴史は、英国社会の変化を反映しています。
元々は英国北部で数種類のテリアを交配してつくられた狩猟犬。
小動物の狩猟で獲物を追い立てる役割を果たしました。
産業革命により工業化が進むと、人々は田舎から都会や工業地帯へと移住し、ヨーキーも鉱山や工場、また労働者の集合住宅などに住み、もっぱらネズミ退治に精を出すことに。

ヴィクトリア女王の時代には、ペットとしての犬の交配が盛んになり、小柄なヨーキーは、王族をはじめ英国の上流社会で珍重されることになりました。

ドッグショーで知名度が上がると、ファンはアメリカへ、そしてその他の国々へと広がっていきました。


性格



愛好家のサイトによると「ヨーキーは育て方で性格が変わる」そうです。

活発で陽気、怖いもの知らずから、神経質で人が傍にいないと恐怖でブルブル震えてしまう子までいますが、いずれの場合も大切なのは「人間のリーダーシップを教えること」。

我が強い子に対しては問題行動を抑え、神経質で何にでも恐怖する子には自信を与える必要があります。
いずれも放置すると、ちょっとしたことでストレスを抱えることになり、健康問題に発展しかねません。

ワンちゃんが、人間のリーダーシップを受け入れられたら、精神的に落ち着き、問題行動も少なくなります。

教えるには、子犬の時期が最も効果的で効率的。
基本的には、ワンちゃんが良い行動をしたら、褒めておやつを与えます。
ヨーキーは比較的覚えが速いので、大半の場合、このトレーニングは成功率が高いそうです。

一方、「やってはいけないこと」を教えるには時間がかかり、人間側の根気が試されます。
特に噛み癖と吠え癖の矯正は、テリアや狩猟犬の特性に関わるため、ワンちゃんが成長する過程で表面化する問題。

このトレーニングでは、ワンちゃんを叩いたり、力で抑えたりするのではなく、普段当たり前にもらえていた「特典」を取り上げたり、または、特典を与えるにしても、意味を持たせた上で与えるそうです。

取り上げる特典は「注目」。
やってはいけないことをしたら、何も言わず、目も合わさずに、ワンちゃんを別の部屋などに隔離します。
そのまま5分~20分放置。
ワンちゃんが落ち着きを取り戻したら、元の場所に戻します。
同じことを繰り返して、まず「やってはいけないことは何か」をワンちゃんに考えさせます。

意味を持たせて与える特典は「食べ物」。
例えば、ワンちゃんが特定のご家族に対して吠える、または噛む場合は、その方から食べ物を与えてもらいます。
ワンちゃんが催促する間は、何も与えずに無視。
その方に「フセ」「オスワリ」等を指示してもらい、ワンちゃんが従ったら少しずつ与えます。

( 関連記事:今知っておきたい、おやつを使ったトレーニングのコツ

ヨーキーにとって、家族と一緒にいること、家族の注目を浴びること、そして食べ物をゲットすることは「至上命題」。
これを上手く利用して、ワンちゃんに人との接し方を無理なく学んでもらいましょう。

子犬は自分より体の大きなものに従い易く、また、子犬の頃に覚えたことは以後も長く記憶に定着します。

悪い癖は時間が経つほど治しにくいもの。
早期に取り組む方が、後で矯正するよりも簡単かつ時短。
なお、日常生活でワンちゃんとふれあう時間が少ないご家族には、是非トレーニングに参加してもらい、ご家族全員が一貫した態度で接することが大切です。


お留守番

ヨークシャー・テリアには分離不安のワンちゃんが多いと聞きます。
特に症状や問題行動が悪化し易いことでも知られています。

例えば、ご家族が出発する際に少々鳴くだけだったのが、その後も吠え続ける等の問題行動に、さらに健康問題へと発展することが多いそうです。

分離不安のヨークシャー・テリアが見せる典型的な問題行動や症状は以下のとおりです。

  • ウロウロと歩き回る、大量のヨダレ(ご家族が準備を開始~出発)
  • ベタベタとくっつきたがる(ご家族が出発の準備を開始~出発)
  • 過剰に興奮、過剰に吠える、過呼吸、震え、失禁、発作(ご家族が準備を開始~出発)
  • 声がかれるまで吠え続ける(ご家族が出発~留守番中)
  • 教えられた場所以外での排泄、食糞(留守番中)
  • 身体を舐め続ける 毛をむしる 脱走(留守番中)
  • 噛んではいけないものを噛む(留守番中)
  • 異常な興奮、飛びつき、ベタベタとくっつきたがる、失禁、(ご家族の帰宅時)

「失禁」は、分離不安以外が原因の可能性もあります。
去勢によるホルモン・バランスの変化や、ヨーキーに多い糖尿病、さらに腎臓など泌尿器の疾患、神経系疾患、心臓病など。
まずは、獣医さんにご相談の上、肉体的な疾患が原因でないことをご確認ください。

分離不安が原因の失禁には、ご家族の帰宅に興奮してやってしまう「嬉ション」から、留守番中の自宅内でのマーキング行動や、孤独が怖くて教えられた場所以外で排泄してしまうケースがあります。

分離不安の診断では、ワンちゃんの様子をご家族の出発前から動画で撮影しておくと参考になります。
どの時点で、どのような症状や問題行動が発生したかが分かり対策が立てやすくなります。

なお、ヨークシャー・テリアと暮らすご家族の話を総合すると、アドバイスは次のとおりです。

  • ワンちゃんの「想定」を裏切る。
    普段より早く家を出る、家を出て数分後に戻るなど、スケジュールに変化をつける。

  • 留守番中でもリラックスできる環境を整える。
    窓際が良いかどうかは個々のワンちゃんの性格による。
    気が紛れる場合も、屋外の物音に反応して吠える場合もある。

  • テレビやラジオをつける。ご家族の古着や毛布を与える。
    電灯をつけておく。
    水や食べもの、噛んで良いオモチャを与える。

  • クレート・トレーニングをして、安心して休める場所を与える。

  • ご家族が出発する前に、ワンちゃんに十分運動・排泄させ、出発時に食事を与える。

理想は、おでかけの前に30分程度走らせてあげること。
それが難しい場合は、散歩のルートや目的地を変える。
引っ張りっこやレトリーブで一緒に遊ぶ。

  • 出発の際は、ワンちゃんに挨拶しない。
    コングなどを与えて気を逸らせる。

  • 帰宅後15分間は、ワンちゃんにかまわない。
    挨拶しない。
    ワンちゃんの身体を触らない。

「ワンちゃんの想定って何?」と思われるかもしれません。

実は、ヨーキーの体内時計は非常に正確。
ご家族が出発する時間、帰宅する時間などを体が覚えていて、出発時間が近づくにつれて自然に恐怖が募り始め、問題行動や症状が現れる傾向があるそうです。
ですから、毎日同じスケジュールよりも、少しずつでも変化がある方が、問題行動や症状が出にくくなります。

また、待ちに待ったご家族が帰宅したというのに、ムスッとした表情を見せるワンちゃんがいるかもしれません。
これは恐怖の時間が終わって、アドレナリンのレベルが一気に下がるために起こるようです。
不機嫌そうに見えますが、安心してどっと疲れが出た状態なのだとか。
なんだかいじらしいですね。

だからと言って、ここで、ご自分からワンちゃんを労わりに行くことは禁物。
そのうち笑顔が戻りますから、15分間はそっとしておきましょう。

ヨーキーの魅力は、愛らしい外見だけではなく家族への愛着。
ワンちゃんとご家族が、ずっと笑顔でラブラブな関係でいられますように!





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