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おるすわん図鑑 vol. 6 〜ポメラニアン〜
2018/01/10

ツンと尖った鼻に潤んだ黒い小さな眼。
三角の耳にフワフワな毛。
細くて小さな足を一生懸命動かして走る姿は、まるでチアガールのポンポンのようです。
いつも笑顔のポメラニアンは、ペットの代表犬種として王侯貴族から一般家庭まで多くのご家族に愛されてきました。

なぜ、多くのファンを長年にわたり惹きつけてきたのでしょうか?

歴史



ポメラニアンには非常に長い歴史があります。
名前こそ「ポメラニア地方(ポーランド北西部からドイツ北東部にかけての地域)の犬」ですが、そのルーツは意外にも大型の橇犬、サモエド(シベリア地方原産)。
長い時間をかけてヨーロッパのさまざまな犬種との交配が繰り返され変遷を遂げてきたことがうかがえます。

この犬種に関する最も有名な史実は、ポメラニアンは18世紀頃にはスピッツに似た中型犬になっており、19世紀後半にヴィクトリア女王と出会うことで、さらに小型化されて今の姿になったということです。
「女王の愛犬」は、ドッグショーの開催を契機に英国の一般家庭にまで広まり、その後は熱心なブリーダーの努力により、ファンは急速に世界中に広がりました。


気質

ポメラニアンは大変小柄にも関わらず好奇心旺盛で活発。
初めて出会う犬にも果敢に自分からアプローチ。
押しが強い自信家に見えて、しっかり相手を観察する冷静さも持ち合わせています。
警戒心が強く自宅に近寄る者を吠えて知らせる優秀な番犬。
知能が高く、おやつの保管場所も何でも直ぐに覚えてしまいます。

明るく快活で常に家族の中心にいることが大好き。
人数が多いご家庭では「お気に入り」をつくります。
なぜか普段ふれ合う時間が少ない人を選ぶことが多く、お風呂やトイレにまで付いていきTVを見るのも寝るのも一緒。
膝の上に乗り首を伸ばして視線を合わせ、潤んだ目でラブラブビームを連射。
そんなワンちゃんの熱愛アプローチにご家族はメロメロ。

また、ご家族の気持ちを敏感に察知。
落ち込んでいる人がいたら、体を寄せて手などを舐めて慰めます。
いつも笑顔のポメラニアンは、ご家族全員に笑顔でいて欲しいと思っているのかもしれませんね。

他犬種と同様に走ることは好きですが、スタミナはなく直ぐに疲れて寝てくれるので、一日の運動量は1回15~20分程度の散歩を2~3回というご家庭が多いようです。
暑さにも寒さにも弱いため、屋外での運動は気温や湿度を見ながら。
そのため時間的・体力的に余裕のあるシニア世代のご家庭にも向いているとされています。

普段訪れる公園やドッグランでは、他のワンちゃんを先輩と後輩とに明確に区別。
体格に関わらず後輩であれば強い態度に出ます。
大型犬種の子犬が、自分より随分と小さいポメラニアンの先輩に叱られて一瞬シュンとする光景も良く見られます。

押しの強いポメラニアンですが、他のワンちゃんと付き合い上手。
若いうちに社会化すれば、まずトラブルになることはありません。

この犬種の大敵は肥満。
特に、夏と冬は屋外での運動が少なくなるので要注意。骨が比較的弱く膝蓋骨脱臼なども多いため、元来、長時間の激しい運動には向いていません。

減量には食事療法が効果的。
だからといって引きこもり生活では、運動不足でストレスが貯まり、足などを舐め続けてハゲをつくり、皮膚がただれてしまうことも。

盛夏や真冬でも1日1回は短時間でも屋外に連れ出してあげましょう。
積極的に運動しなくても、外のニオイを嗅げば気分転換になってストレスも軽減。
運が良ければ他のワンちゃんと出会え、ふれあうことで脳が刺激を受けてアンチエイジング効果も期待できます。


お留守番



ポメラニアンには、程度の違いはあるものの半数近くに分離不安の症状や問題行動が見られるそうです。
(一般的な分離不安の説明や症状・問題行動の詳細は、本ブログの過去の記事をご参照ください。
今回の記事はこの犬種に焦点を絞ります。あらかじめご了承ください。)

分離不安のポメラニアンが見せる典型的な問題行動や症状は以下の通りです。

  • ウロウロと歩き回る(ご家族が準備を開始~出発)
  • ベタベタとくっつきたがる、または隠れて出てこない(ご家族が出発の準備を開始~出発)
  • 過剰に興奮、過剰に吠える、過呼吸、震え、失禁、発作(ご家族が準備を開始~出発)
  • 声がかれるまで吠え続ける(ご家族が出発~)
  • カーテンや家具など齧ってはいけないものを齧る(留守番中)
  • 水や食べ物、オモチャなどをまき散らす(留守番中)
  • 教えられた場所以外での排泄、食糞(留守番中)
  • 身体を舐め続ける 毛をむしる 脱走(留守番中)
  • 異常な興奮状態、ベタベタとくっつきたがる(ご家族の帰宅時)

失禁や発作などは、まず獣医さんにご相談いただき内科的な問題ではないことを確認してください。
例えば、失禁の原因は泌尿器系の疾患や老化現象も考えられます。
また、ポメラニアンはてんかんや呼吸器の問題を抱えるワンちゃんも比較的多いため要注意。

次に分離不安の診断ですが、ワンちゃんの様子をご家族の出発前から動画で撮影しておくと参考になります。
どの時点で、どのような症状や問題行動が発生したかが分かり対策が立てやすくなります。

分離不安と確認されたら、まずは運動量の見直しを。事前に十分運動すれば、体が疲れ留守番中に寝てくれるので、孤独に耐える時間が短くなりストレスも軽減されます。

その他、ポメラニアンと暮らすご家族の話を総合すると、アドバイスは以下のようになります。

  • ワンちゃんに独りで留守番をさせる時間は最長でも8~9時間。それ以上になる場合は、途中で友人などに様子を見てもらうか、ペット預かりサービスを利用。
  • 留守番中にワンちゃんが動けるスペースは広すぎても狭すぎてもいけない。家中を完全フリーにしない。クレートに閉じ込めない。

サークルで適度の広さのエリアを限定。
エリア内にはドッグベッド、オモチャで遊ぶ・水や食餌を置くエリア、トイレを設ける。

  • ご家族が出発する前に十分運動・排泄させ、出発時に食事を与える。
  • 留守番エリアに窓がある方が刺激になる一方、通行人などに吠える可能性があるため、個々のワンちゃんの性格や住宅事情を見て決める。
  • 出発前にTVやラジオ、電灯をつけておく。
  • 複数種類のオモチャを用意しておく。
    特にコングや齧っても大丈夫な物は、ストレス発散に役立つ。
    また、コンパニオン・トイも精神的に安定させるのに役立つ。
  • ご家族が在宅中に独り遊びの練習やお留守番のリハーサルをしておく。

なお、この犬種は意外にも食糞するワンちゃんが多いとか。
独りでいる時間の長さにもよりますが、排泄物が目の届くところに放置されることが誘因であることは否定できません。
事前に胃腸を空っぽにしておき、ご家族が出発時に食事を与えれば、食糞の可能性は減り、お留守番に対してマイナスのイメージを抱くこともストレスも少なくなります。

ワンちゃんに「やってはいけない」と教えるには「現行犯逮捕」が原則。
とはいえ、ご家族が外出中ではそれも困難。
あらかじめ動画を撮影して食糞のタイミングを調べておき、リアルタイムで現場をおさえるのが最も効率的で効果的。
声をかけて犯行が未遂に終われば、ワンちゃんを褒めて、ご褒美をあげましょう!

なお、糖尿病などで排泄の間隔が短いワンちゃんを長時間お留守番させる場合には、便や尿の状態や量を確認するためにも、ご友人等に様子を確認してもらうか、またはペット預かりサービスの利用をご検討ください。

ポメラニアンはご家族の「愛されワン」で「愛しワン」。
いつまでも明るい元気な笑顔で過ごせますように!
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